オフショア法人設立の仕組みとCertificate of Incumbencyの役割

タックスヘイブンといわれる国や地域でオフショア法人を設立するにあたって、登記後に発行される基本書類は数多くあります。基本的な構成としては、Certificate of Incumbency(役員・株主の在職証明書)、Certificate of Incorporation(法人設立証)、Memorandum Association and Articles of Association(会社定款)、Share Certificate(株券と株券名簿)、Appointment of First Director (役員就任議事録)になります。オフショア法人は年度毎に発行される書類はないため、設立時に作成した書類が法人基本書類となります。Certificate of Incumbencyとは、役員・株主の在職を証明する書類であり、具体的には、法人名、法人番号、発行日、有効期限、役員名、役職、署名権限が基本的には記載されています。また、タックスヘイブンではノミニー制度が採用されているケースが多く、Certificate of Incumbencyにはノミニーダイレクターで記載され、プライバシー保護に役立っています。本来、これら書類は公開されないので、ノミニー制度自体が必要ないと考えられますが、プライバシー保護を強固にするためにも、ノミニー制度を利用している法人、個人が数多く存在しています。

また、Certificate of Incumbencyは様々な場面で必要となります。まず、オフショア法人の銀行口座開設には、Certificate of Incumbencyを提出する必要があります。これは、口座開設時に法人の代表者であることを証明するためです。そして、オフショア法人が様々な契約を締結する場合、契約書に役員や署名権限者の署名が必要となります。この際、署名権限を証明するためにCertificate of Incumbencyを提示することがあります。また、オフショア法人は基本的に非課税なので、税務申告の必要はありませんが、納税が発生し、税務申告をする場合、Certificate of Incumbencyを提出する必要があります。これは、申告内容の責任者である役員を特定するためです。さらに、オフショア法人が訴訟を起こしたり、裁判所に書類を提出したりする場合、Certificate of Incumbencyを提出する必要があります。そして、Certificate of Incumbencyは常に最新のものを提出する必要があるので、有効期限が切れた場合や、役員が変更された場合など、Certificate of Incumbencyの内容に変化があった場合は速やかに変更しておく必要があります。

Certificate of Incumbencyのような書類を、自社で作成し、保存管理しておくことで、それら提出書類に関わるコストを最小化することが可能です。ですが、それはあくまでも設立しようとしているオフショア地域の設立要件に精通していることが必須です。もし、そうでないのであれば、設立に関するコンサルティングが行える専門家に依頼する方が、コストも時間も節約できます。設立しようとするタックスヘイブンでも、各々の国や地域によって提出しなければならない書類が違います。Notice of Becoming a Beneficial Owner(最終受益者の確認書)やRegister of Beneficial Owners(最終受益者名簿)と呼ばれる書類が必要な場合もあれば、必要のない場合もあります。このように、その国や地域による違いを網羅し、理解するにはやはり時間がかかる作業となります。やはり、設立までの流れが完全に構築されている安心感があり、例えば休眠オフショア法人の買取の提案をする等、設立しようとする側に有益な提案ができる専門家の存在は重要かつ、必須であると言えます。財務の専門家である税理士や、法律の専門家である弁護士も含めて、専門家は頼りになる存在です。