タックスヘイブンと呼ばれる国や地域でオフショア法人を設立する大きな目的は税負担の軽減ですが、設立にあたって商号調査は非常に重要な項目です。タックスヘイブンとは、法人税や所得税などの税率が極めて低く設定されている国や地域を指します。商号調査を怠ると、様々なリスクが生じます。商号調査は、登録しようとしている商号が既に他の企業によって登録されていないかどうかを確認する調査です。類似した商号を使用すると、顧客が混同してしまう可能性があり、企業イメージの低下や顧客離れにつながる可能性が考えられ、企業にとって大きな損失となりますし、管轄区域によっては、特定の文字や単語を含む商号の使用が制限されており、不適切な商号を選んでしまうと、登記申請が却下される可能性があります。また、商号調査の際には、現地言語で商号にネガティブであったり、差別的な、また不適切な意味がないか確認する必要があり、意図せずともそのような意味を持つ商号を選んでしまうと、企業イメージに悪影響を与える可能性があります。また、マネーロンダリング、許認可事業、政府を関連する言葉(Investment、Goldなど)が社名に含まれている場合、銀行によっては口座開設ができない場合があります。そのため、商号調査はそのようなリスクを回避するために重要です。
一般的に適切な商号を選ぶためのポイントとして、まず一目で理解できるような、簡潔で分かりやすい商号を選ぶこと、そして、顧客が簡単に覚えられるような、シンプルで、顧客が簡単に発音できるような、発音しやすい商号を選ぶ事が大切です。また、商号調査で判明したすでに登録されている商標と類似した商号は避けたほうが無難です。商号調査の際に、必ずチェックしておくべきです。さらに、業界の慣習に則した商号を選ぶことで、顧客からの信頼を得やすくなりますし、将来の事業展開を見据えて、幅広い事業内容に対応できるようにまた、ターゲット層に合ったイメージや雰囲気を持つ商号を選ぶことも大切です。そして、ネガティブな意味を持つ商号は避けましょう。
商号調査にかかるコストを抑えたい場合は、自社で商号調査を行うことも可能です。インターネット検索や商標データベースなどを活用して調査を行います。調査対象地域、商標の種類、調査対象となる類似商号の範囲などを明確にした上で、 調査結果に基づいて、リスクを判断し、必要に応じて商号を変更するなどの対策を検討しますが、時間と自社コストがかかります。また、そのリスクの検討など、自社で判断できない場合もあるので、専門家に依頼する方が効率が良い場合が多いです。専門家は、商標法令に関する知識と経験を有しており、効率的な商号調査を実施することが可能です。税務相談や設立に関するサポートにも言えることですが、専門家を選ぶ際には、まず法令や税務にに関する専門知識と経験が豊富であることが重要です。また、オフショア法人設立に関する実績があることも重要です。オフショア法人設立に関する専門知識が豊富で、設立予定のオフショア法人設立先に関する知識があり、実際に調査依頼をした場合でも、的確なアドバイスを得られるかどうかで判断できます。そして、費用が明確であることが一番重要です。中には、獲得が難しいライセンスをパック販売にして、高額を請求される場合もあります。依頼する場合は十分な精査が必要です。
税負担の軽減や、資産管理など、大きなメリットがあるタックスヘイブンでのオフショア法人設立ですが、商号とは別のリスクも存在しています。税務に関する法的リスク、Reputationalリスク、事業運営に関するリスクなどがあたります。OECDによる情報交換や規制強化や租税回避スキームの摘発、マネーロンダリングへの関与などは税務に関する法的リスクだといえます。Reputationalリスクは、タックスヘイブンを利用していることに関しての企業イメージの悪化が該当します。事業運営に関しては、タックスヘイブンだと、決算の必要が場合が多いので、事業継続に関するハードルは低いのですが、税務に関しては変化が激しく、また複雑になっているため、その変化に対応するリスクがあります。これらに関しても、税務のサポートを受けられる税理士などの専門家や、運営にあたってのコンサルを受けられる専門家の存在が益々重要になってきています。